「神経・筋疾患の診断,治療に関する後ろ向き観察研究」へのご協力のお願い
東京大学医学部附属病院脳神経内科(当科)では,一人一人の患者さんに最善の医療を提供することに努めるとともに,こうして得られた診療情報を振り返り,検討を加えて神経・筋疾患の診療を更に向上させる努力を行っています.
このために,当科を受診した患者さんの過去のデータをまとめ,解析した結果を学術論文や学会に公表する場合がありますので,この件についてご説明させていただきます.
(1) ここにご案内するのは,過去の診療情報を振り返り,解析する「後ろ向き研究」と呼ばれる学術活動で,「神経・筋疾患の診断,治療に関する後ろ向き観察研究」として,東京大学医学部倫理委員会の承認を得て行われます.
日常の診療で得られた経験を振り返ることは,新たな疾患(病気)の発見や診断・治療法の改善のために欠かせないことです.
(2) 学術論文や学会で公表する場合でも,氏名や患者番号など,個人が特定できる情報は削除され,患者さんの個人情報(プライバシー)は厳重に守られます.
(3) 診療情報とは,次のようなものをさします.
病歴(症状の変化の記録)や身体所見(診察で分かった体の状態)の他,血液や脳脊髄液などの検体検査,画像検査,生理学的検査,病理組織検査,遺伝子検査(東京大学医学部倫理委員会でゲノム・遺伝子解析の倫理申請を受け承認されている,あるいは申請の必要がないと認定されているもの)などです.いずれも,診療上の必要があって行われたものに限定されます.
(4) 診療情報の解析方法は,大きく次のような方法に分けられます.
- 疾患の特徴を明らかにするために,該当疾患患者の検査結果をまとめ,他の疾患患者群と比較検討する方法.
- 治療効果の評価のために,当該治療を行った患者の経過および検査結果をまとめ,他の治療法ないし無治療の患者群と比較する方法.
- 医学的意義の高い場合には,少数例の場合でも身体所見,検査所見,治療効果について詳細を確認し特徴を明らかにすること.
(5) 調査の対象となるのは,当科において診療したすべての疾患であり,次のような疾患名があげられます.神経変性疾患(パーキンソン病,アルツハイマー病,ハンチントン病,筋萎縮性側索硬化症,脊髄小脳変性症など),免疫性神経疾患(多発性硬化症,ギラン ・バレー症候群,重症筋無力症,筋炎,傍腫瘍性神経症候群など),感染性疾患(脳炎,髄膜炎など),血管障害(脳梗塞,脳出血,脊髄梗塞など),および,末梢神経障害,筋ジストロフィー,先天性ミオパチー,中毒・代謝異常による神経・筋障害,脊髄空洞症,正常圧水頭症,ミトコンドリア脳筋症,てんかん,頭痛など.
(6) 上記のように,個人情報は守られ,医学の進歩に欠くことのできない学術活動ですが,患者さんには,ご自身の診療情報が使用されることを拒否する権利があります.研究協力を拒否された場合でも,当科の診療上で治療などで不利益を被ることはありません.
(7) ご質問がある場合,あるいは診療情報の使用を拒否される場合には,下記にご連絡をお願いいたします.
連絡先
東京大学医学部附属病院 脳神経内科
〒113-8655 東京都文京区本郷7-3-1